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2014.04.01 (Tue)

いいとも大団円と25年前のひょうきん族最終回にみるフジテレビバラエティの正しい終わり方

私の実家には25年前に録画した1本のVHSビデオテープがある。
内容は「オレたちひょうきん族最終回 タケちゃんマン忠臣蔵」である。
もちろんツメは折ってある。

3月31日の笑っていいとも最終回をみて、そのことを思い出した。

オレたちひょうきん族は、80年代前半から後半にかけて毎週土曜20時にフジテレビ系列で放映されていたバラエティである。
現在30代後半以上の人には改めて説明するまでもないが、ビートたけし、明石家さんまを中心に80年代漫才ブーム以後のお笑い芸人が多数登場した押しも押されもしない看板番組であった。

かつて全国の小学生がかじりついて観ていた「8時だよ!全員集合!」の裏番組としてスタートしたひょうきん族は、やがてその視聴者を奪い、ドリフを古い笑いの位置づけに追いやった。
タケちゃんマン、ブラックデビルなどの名物キャラクターや、冗談はよせ、がっちょーんなどの流行語も多数産み、まさに観ていないと翌週の話題に乗り遅れる番組であった。

しかし、そんな一世を風靡したひょうきん族も晩年は勢いが落ちる。
お笑いホームビデオを武器に息を吹き返した全員集合の後番組「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の勃興に加え、ビートたけしの度重なる無断欠勤などもあり、あれほど熱狂して観ていた視聴者はどんどん離れていった。

そんな右肩下がりの状況で迎えた最終回であったが、そこはさすがの芸人達。これまでの歴代キャラクター総登場のタケちゃんマンスペシャルは、時間を忘れさせるほどの出来であり、懐かしさを感じるとともに爆笑の嵐であった。
ひょうきん族といえば、昔のバラエティでは典型的な「効果音笑い」であったが、仮に生笑いだったとしても爆笑が続いたであろう、そんな内容だった。

スペシャルコントも終盤にさしかかり、コントの設定を離れ「最後にみんなから一言」的な空気になったところで、大きく流れが変わる。
番組のマドンナ的存在だった石井めぐみが「酔っぱらって、夜にさびしい男のふりして電話してくるのはやめましょう」と言い放ってからは、スタッフも巻き込んだ大暴露大会に。

結局、ラストまでぐだぐだは続き、何ともしまらないままエンディングの時間。

そこで画面に流れたのは、1981年に番組が開始したときのオープニング食事コントを、1989年に同じメンバーが再現し、昔と今の映像がクロスオーバーする映像。
そして番組開始時同様に、ビートたけしが「オレたち!」と叫ぶと、全員がそろって「ひょうきん族!」。
EPOの主題歌が流れる中、最後はきっちりと締めて見せたのであった。

ひるがえって今回のいいとも最終回はどうであったか。

昼はビートたけし最後のテレホンショッキングで大笑いし、夜も豪華な出演者がこれまで観たことがないような競演を果たし、明石家さんまはキレッキレの話術を見せつけた。

しかし番組後半、出演者からタモさんへそれぞれ一言ずつ、となったところで流れはぐだぐだとなる。
いきなり涙する者、ネタを見せる者、お笑い芸人なのに全く笑いをとらず真面目な挨拶をする者、各曜日レギュラー陣のスピーチは心に沁みるものもあったが、いかんせん長過ぎた。

しかも、いいともは生放送である。そもそも生放送のお笑い番組というフォーマットはとうに終焉を迎えており、編集で濃縮された笑いに慣れた視聴者にとって、笑い濃度が薄まった生放送は水で薄めたジュースのように思えたに違いない。

延々と続くぐだぐだスピーチ展開にチャンネルを変えかけた視聴者も数多くいたことであろう。
しかし最後に番組の顔、タモリがキレイに締めてみせる。

視聴者と支えたスタッフへの感謝を簡潔な言葉で述べると、最後は出演者全員の「ウキウキWATCHING」。
そして32年間変わらないお開きの言葉「それでは、また明日も観てくれるかな?」「いいとも!」のかけ声で大団円。

豪華なお笑いスターの競演も、途中のぐだぐだな空気も、そして最後に主役の千両役者が締めるのも、ひじょうにフジテレビらしかった。

いいとも最終回に対するネットの反応を観ると、褒めたり、けなしたり、惜しんだり、と様々である。
しかし、私は25年前のひょうきん族の終わりと比較してみて、今回のいいとも最終回は、極めてフジテレビ的に正しい終わり方であったと思うのだ。

まだまだフジテレビには長寿お笑いバラエティ番組がたくさんある。
「とんねるずのみなさんのおかげでした」もそうだし「めちゃ×2イケてる!」もそうだ。

今もまだ続くこれらの番組もいつかは終焉のときを迎える。
そのときは、またきっとフジテレビらしい終わり方で締めくくってくれると期待している。

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