2009.11.28 (Sat)
共食い

団地マニアで有名な大山さんと私は同い年だ。
ただ1972年生まれというだけでリアルでは何の接点もなかったはずの私と大山さんは、インターネットを通じて出会い、なんだかんだともう7~8年くらいのつきあいになる。犬で言うと60年くらいのつきあいだ。犬で言う意味はないが。
彼の活動は(彼が二人組だった頃から)一読者として純粋に楽しんでいるが、実は活動面においては私と彼との接点は少ない。
私は、工場も団地も見に行かないし、ジャンクション……はちょっと見に行ったけれど、彼や彼の周辺の人々の熱さには足元にも及ばない。裏返しで、彼も私の好きな八重歯だのには全然興味がないようだ。
だから、彼とたまに会ってサシで話したりすると、お互いが好きなことを言っているか、蘊蓄合戦をしているみたいな感じになる。
それでも何だか根っこでは通じるものがあるようで、折に触れ交流させていただいている。あれだあれ、猫ひろしと城咲仁が仲がいいみたいな関係。違うか。
何とか彼の活動に協力できないものかと思っていたところで、2006年頃から彼が始めたのが共食いキャラ活動だった。
”食われる己(あるいは己の同類)を豚が牛が鳥がタコがソフトクリームが宣伝するその矛盾。”
日本のキャラ文化の特殊性も含め、極めて文化人類学的に深いこのテーマは、私の興味にドンピシャであった。夫婦でドンピシャ。それは勝田清孝が出演していたテレビ。何の話だっけ。
聞けば、ものすごい数の共食いキャラ写真が彼のもとに送られたという。となると私が共食いキャラを都内で見つけようとしても、凡庸なものになってしまうだろう。
ならば、ということで私の得意分野アジアにフィールドを広げてみたのだが、中国やシンガポールには共食いキャラ文化はまったくなく日本という国の特殊性を改めて知ることとなってしまった。
半ば海外での共食い捜索をあきらめかけた時出会ったのが、この香港の肉。
運よく大山さんの琴線にも引っかかることが出来、サイトに掲載いただいた。
時は流れて2009年。
彼の活動のひとまずの集大成として、ついに共食いキャラの本が出来た。
準備段階から話を聞いていたこともあり、待ちに待った発売である。
次々と登場する共食いキャラ達に的確にコメントを返していく大山さんのリズムが実に心地よい。
そして、看板にキャラを書かずにはいられない日本(そして韓国)の人々の国民性にあらためて驚く。これは間違いなくひとつの文化だ。
私がもう少し外国語が出来たならば、間違いなく翻訳して海外に売り込んだことだろう。
そうすれば、共食い不毛の地である中国やシンガポールでも、杏仁豆腐やチキンライスが、自らサムアップしてほほ笑む日がくるはずだ。
私の香港の肉も、運よく掲載いただくことができた。
ちなみに、今回の本の中で、顔のない共食いキャラはこれだけである。
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